さて、この牧田さんは定期的にプロテインについて反対の意見を述べているので、以前から存じ上げております。ただ、この方の論説は、最初から「プロテインは悪」というバイアスが掛かっているので、あまり参考にはできない、というのが私の中の結論です。
例えば、自然の食品とプロテインの何が違うのかを説明せずに、不自然なタンパク質だから腎臓を悪くする、という持論を前提に毎回文章を書かれています。
この方は糖尿病の専門医なので、クリニックに来る患者さんは、すでに腎臓の数値が悪くなっている人ばかりだと推測できます。
そしてそういう患者さんが、スポーツクラブなどで勧められてプロテインを飲んで、更に数値が悪くなるのを見て、どうしてもプロテイン=悪という図式が、この人の中でできてしまっているのでしょう。
また、「肉や魚、大豆など普通に口にしている食べ物からのタンパク質~。それで十分なのです。」と言い切ってしまうことにも疑問を感じます。
筋肉や皮膚、髪の毛についてのみ書かれていますが、それだけでなく消化器官も呼吸器官も血管も胃液もホルモンも酵素も、人間の体重の30%~40%はタンパク質でつくられています。
これだけの重さのものを「健康的に」維持するのに、はたして、普段食べているものだけで本当に十分なのか?
人それぞれで、食べているものや量は違うのに、それを調べたわけでもないのに、なぜ十分と言い切れるのか?
すべてはプロテインを悪者にしたいが為の偏重した意見だと、私は思います。
アミノ酸プールについて書かれていますが、プールというと、どこかに貯蔵されてるのかなと思うかもしれません。
ですが血液中や細胞の間、そして組織の中に存在しているアミノ酸を指してアミノ酸プールと呼んでいます。
そしてこれらのアミノ酸は貯めておくことはできないので、常に利用されるか排泄されるかして腎臓を通過しています。
つまり自然の食品であろうと腎臓に負荷は掛かるのですが、なぜそこでプロテインのみが腎臓に良くないと書かれているのか疑問です。
プロテインを飲むことを指して「過度な負担がかかりっぱなしになる」とありますが、プロテインは、体重1kgに対して1.0g~2.2gくらいまでなら健康的になれるという論文が数多くでています。
しかしそのことには触れず、印象操作をしている時点で、やはり偏った考えだなぁという印象を受けてしまいます。
結局、この文章においても「自然の食品」と「プロテイン」の違いについては書かれていなくて、最後はなぜか肥満は体に悪いという話で文章が終わっているので、なんだかなあという感じです。
ちなみにこういった否定論説の場合、多くのものは「過剰に摂ると」や「過剰摂取すると」などといった条件がさりげなく書かれているので注意が必要です。
例えば血糖値などの場合、大抵、「◯◯を過剰に摂ると血糖値が上がってインスリンが分泌されて脂肪になりやすいので、◯◯は食べない方が良い」などと書かれています。
そりゃあ過剰に摂ったら、どんな食べ物でも良くない反応が起きますよ。
それから、ものごとは良い面と悪い面があるし、ある方向から見たら良くなくても、ある方向から見たら良いこともあります。
例えば、果物を食べると血糖値が上がるからという意見は、あくまで血糖値という方向から見た考えです。
ですが一方で、果物から得られるビタミンやミネラルなど栄養の方向からみると、やはり果物は食べた方が良いと考えます。
ようするに、一つの考えだけではなくて、もう一方の考えも知っておいた方が良いですよ、ということです。
そういう意味では今回の記事も、改めて考えを整理するのにとても役にたちました。
質問して頂いたモニターさんには感謝です。
そして、もしこのような記事を見て、これってどうなんだろうと思ったら、いつでもご質問を頂きたいと思います。